『ディエゴを探して』〜私はサッカー好きなのか問題

藤坂ガルシア千鶴さんの新刊『ディエゴを探して』。マラドーナがお好きでアルゼンチンに移住されたとは知らずに、アルゼンチンおよび南米サッカーに関して発信されている情報が好きで、ずっとtwitterでフォローさせていただいていました。


たまたま、新刊本が出ることを知ったタイミングが帰国に近く、早速オーダー。帰ってきて読み始めたのですが、とても素晴らしくて。泣きながら、勿体ぶって3日くらいかけて読みました。もう2回くらい読みたい。

私のように逐一情報を追いかけているわけではないけど何気にファンという人間にとっては、遠くから聞きかじるゴシップを含むニュースで混乱していた心の隙間に染み込んで、癒してくれるような、そんな本でした。


マラドーナとの出会いは1990年大会、家に導入されたばかりの衛星放送でなぜかW杯を見始めたのがきっかけ。中1の女子校生、サッカーの知識ゼロで全試合見たけど、アルゼンチン代表に落ちました。カニージャもいたしね(笑)。


以来、アルゼンチン代表の試合はなるべく観てきたけど、せいぜい「なるべく」程度です。ファンというのは明らかにおこがましい。でもずっと関心はあり、その原点はやっぱりマラドーナだった。


猛烈な憧れからアルゼンチンも2回行きました。日程上リーベルの試合だけを観たのだけど、別日、たまたまボカ出身というタクシー運転手さんに当たって、ラ・ボンボネーラの中まで案内してくれて(そういえばランチも奢っていただいた・・・)。今思えば、リーベルのスタジアムの感じも見ておけたことになるので、今となっては短い滞在の中で、せめて、二つのスタジアムの雰囲気の違いを知っておけたのは良かったのかもと思う。


あと、イタリア旅で数日隙間が出来た時にナポリに行きました。本の中でイタリアにおけるナポリの位置づけが書かれていたけど、街の様子を思い返して納得感があります。今から10年以上前だったと思うけど、まだ街角にマラドーナが溢れていて、「愛」をバシバシ感じて、勝手に幸せな気持ちにさせてもらった記憶が。


本の構成も素敵だった。マラドーナの原点となる時期を丹念に取材されているのだけど、自分自身もなぜあれだけ惹かれてきたのか、言葉にならない原点を振り返ることが出来た気がします。その最後にパーソナル・トレーナーを長年務めたシニョリーニさんのインタビューで辻褄が合うというか。


そしてエピローグで腑に落ちる。勝手に引用してはいけないと思うのでしないけど、インタビューした「ディエゴ」を知る人たちに共通したという、藤坂さんからの質問への答えを読んで、改めて、そういえばそこだった気がする、と思いました。


ゴシップがありながら、試合やニュース映像やチームメイトと過ごす姿やチームメイトが彼を守ろうとする姿とかを元に、漠然と勝手にマラドーナという人間をどこか信じてきたけど、多分それで合っていたんだろうな、と。なぜ自分がマラドーナにハマったのかと自問して、ただのミーハーだったのかな?と思った時もあったけど、それだけじゃなかった。


結局、私はサッカーファンなのか?と思うと、きっとそうじゃないんだろうなと思います。スポーツとして面白いと思うけれど、マラドーナにハマった理由は別のところにあって、その後も、なんだかんだサッカーを見続けている理由も、政治や経済ニュースとは異なる視点で世界を見ることができるから。


サッカーが世界への入り口の一つだった、ということだったんだなと思います。


ブルックリンに戻ったら、近所のワイン屋のアルゼンチン人のオーナーのところにこの本を持っていって、一緒にお茶しよう。マラドーナが好きなのか、そういえばちゃんと聞いたことなかったけど、ボカ好きなのは知っているので、多分、大丈夫(笑)。

Good Vibes Only!

ニューヨークのピラティス インストラクター。 マンハッタンとブルックリンの スタジオで、日々 ピラティスを語り続けています。 気が向いたら更新中。

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